雪の結晶と好奇心
「雪は天からの手紙だ」と言ったのは中谷 宇吉郎。
僕が生まれ、育った新潟では「雪下ろしの雷様」が11月末から12月にかけて鳴り響く。
深夜、急に街から音が消える。
カーテンを開けると、ボサボサと大粒の雪が降っている。
雪は音を吸収し、音を消し去ることにより、自分の音を作っている。
小学生の頃、初めて肉眼で雪の結晶を見た。
「図鑑に載っていたとおり」六角形の結晶をしていた。
しかし、不思議と、どれ一つとっても、同じ形をした結晶は無い。
よほど、天から手紙を書いているくれている人は語彙が豊富なんだろう。
雪の結晶はどうみても自然が作ったとは思えないほどの美しさを持っていた。
しかし、同時に、こんな小さな氷の粒をあれほど精緻に彫り込むのも人間技とは思えない。
雪の結晶を見て、興奮して思わず鼻息で雪を吹き飛ばした僕の好奇心は、まだ元気だろうか?