●治験のあり方を考える(6)日本の治験の促進方法(3)

「治験の意義」はもちろん、新薬を世の中に出すためのデータ収集である(安全性も含めて)。
治験の意義は、この一点につきる。(ただし、「治験“参加”の意義」は患者個人、一人ひとりによって違ってくるだろう。それはそれで無論、問題無い。)
この治験の意義を理解して頂くことが医師側にも患者側にも必要だ。

思うに医師が治験に積極的になって頂くためのインセンティブ、モチベーションはこの「新薬を世の中に出す」ことに没頭して頂くということしか、結局、ないのではないだろうか。
「金銭のために」治験をやってもらう医師の気持ちも否定はしないが、それは「危うい」かつ「脆い」インセンティブだ。
金銭のために治験のデータを捏造するなんてことは絶対にやってはいけないことだ。そんなことにもなりかねない。
それよりも「新薬を世の中に出す」ことにモチベーションを感じて没頭してもらったほうが健全だ。

ところでデータ捏造で思い出したが、製薬会社のひとたちは「マスコミによる治験のダーティーなイメージ作り」を口にすることがあるが、これは恥ずかしいことなのでやめよう!(自戒も込めて。)
何故、恥ずかしいかというと「マスコミによる治験のイメージ」以上のことを製薬業界はやっていませんよ、と宣伝しているようなものだからだ。そして、それは残念ながら事実だ。
もし、マスコミによる治験のネガティブなイメージが治験の促進に本当に影響していると思うなら、マスコミ以上に製薬業界は治験の意義を正しく伝えるよう努力するべきなのだ。


架空(仮想)の製薬会社「ホーライ製薬」

臨床試験、治験を考える「医薬品ができるまで」