●治験のあり方を考える(7)日本の治験の促進方法(4)

僕が治験を行う医師に求めているのは「『新薬を世の中に出す』ことにモチベーションを感じて没頭してもらう」ことだが、そうなると、「なんだよ!製薬会社は金儲けするために治験をやっているのに、医師のほうにだけそんなことを求めるのか?!」と突っ込まれること、間違いない。

もちろん、僕は治験依頼者である製薬会社にも同様のことを求める。
と言うか、実は製薬会社の開発を担当している人は、それぐらい(没頭するぐらい)でないと治験を成功に導けない。

新薬を開発するということは、それだけ難儀なことなのだ。(少なくとも僕は経験上、そう断言する。)

結局、日本の治験を促進する方法は厚生労働省などのお上頼りになるのではなく(もちろん、行政指導のほうがうまくいくのもあるが)、治験に関与している人のどれだけのひとが「その治験」に没頭しているか、そして日本の治験環境を良くしたいと自らの頭で考えているかにかかっていると思うのだ。
日本の治験がどうなったら「良い治験環境」と言えるのかは、それはもうひとえに創薬ボランティアの人権、安全、福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保しつつ、スピードも遅くないということ。

海外との時間差も無く、画期的な新薬が日本で使えるようになる、そんな日本の医療現場を支えるために新開発ができるようになること、そんな環境が「より良い治験環境」と言えるのではないだろうか。
そんな環境になるにはどうしたらいいのか、それをガンガンと知恵と行動力で試していく、それが僕の理想とする「治験のあり方にまつわる個人のあり方」だ。

あなたが、考えていることは(多分)正しい。だから、まずは怖れることなく、試してみよう!