エルデシュ番号

放浪の天才数学者エルデシュは、数十年のあいだ、新たな若い数学者を率先して探し出し、ともに研究をした。
485人(!!)の共著を持つエルデシュは数学者として史上最も共著が多い。(そりゃそうだわな。485人だもの。)

この幸運な485人は巨匠エルデシュと一緒に論文を書いたという意味で、エルデシュ番号1を与えられている。
エルデシュ番号2は、エルデシュ番号1を持つ数学者と共著を発表した人につけられる。
ちなみに、アインシュタインエルデシュ番号2であり、最大数はこれまでのところ7だ。
数学の論文を書いたことがない、大いなるただの人たちはエルデシュ番号は無限大(∞)ということになる。
僕のエルデシュ番号は∞だ。

エルデシュ番号については、その性質を考察した冗談半分(真面目半分)の数学論文が発表されている。
これがまた笑える。

オークランド大学のジェロルド・グロスマン博士は、このエルデシュ・ナンバー・プロジェクトのサイトまで作っている。
http://www.oakland.edu/enp/

このサイトではエルデシュ番号の系図を追跡している。

エルデシュの共著者を1枚の紙の上に描かれた485個の点とする。
共著者同士が新たな論文を発表していくたびにその点同士を線で結んでいくと、最後には1381本の辺ができる。
これを「協力グラフ」と呼ぶそうだ。

エルデシュの仲間の数人が、あたかも本物の数学の問題であるかのように、この「協力グラフ」の性質について論文を発表している。
論文の中には、特定の2点が辺で結ばれると、グラフが極めて面白い性質を有するという考察まで書いている(!!)。

その性質を持たせるためには、関係の無い二人の数学者がすぐに協力してなにかありふれた問題を証明し、共著論文を書かなければならない。

これは言うまでも無く「実生活に役立つもの」とはほど遠い、深遠なる世界の物語だ。