クローン胚作製、禁止と容認の両論併記…専門委報告
人間に成長する可能性を持つ「胚」を研究などで利用できるか検討していた総合科学技術会議の生命倫理専門調査会(井村裕夫会長)は12日、国の指針で「当面禁止」とされていたクローン胚の作製を容認する意見も入れた中間報告書をまとめた。
両論を併記する異例の形をとっており、年内に本会議に報告。公開シンポジウムなどで国民の意見を幅広く聞き、来年6月までに最終的な結論を決める。
クローン胚は、体細胞の核と除核した未受精卵を融合させるクローン技術で作る。体細胞提供者と全く同一の遺伝子を持つため、拒絶反応のない再生医療を実現できる可能性がある一方、子宮に入れるとクローン人間誕生の恐れがある。
調査会では2001年8月から医師や法律家ら21人の専門家が議論を重ねた。だが、クローン胚については「再生医療への恩恵は計り知れず、作製、利用を認めるべき」と研究の有用性を主張する解禁派と、「いまだ安全性も含め未知の部分が多い」と引き続き凍結を求める慎重派の主張が平行線をたどった。
クローン人間作りを禁止するクローン技術規制法(01年6月施行)は、3年以内にクローン胚などの取り扱い指針をまとめるよう求め、指針で当分の間クローン胚作製を禁じた。
一方、精子と卵子からできる通常の「受精胚(卵)」は、関連学会や国が、医学研究に限り、不妊治療で余った分の使用を認めている。同調査会では医学研究で多大な恩恵をもたらす場合などに限って作製も容認する意見が多数を占めた。
◆人間の胚=人間が誕生する初期の段階を指し、胎児に成長する可能性を持つ細胞や、その塊。総合科学技術会議では、精子と卵子が受精してできる「受精胚」と、クローン胚のように人間の通常の受精過程を経ない「特定胚」を含めた総称として用いている。
・・・クローン胚の利用を禁止すると、ここでまたアメリカに大きく水を開けられる。
それに病気の治療に欠かせないものになるはず。
まずは、病気の治療に限定して利用を認めるべきだ。