合成DNA投与で筋ジス治療成功=世界初

 神戸大学医学部(神戸市)の松尾雅文教授らは3日、筋肉が委縮する難病のデュシェンヌ型筋ジストロフィー男児(10)に対し、人工的につくった合成DNA(デオキシリボ核酸)を利用した遺伝子治療に世界で初めて成功したと発表した。

 治療の結果、男児には筋肉を生成するメッセンジャーRNA(リボ核酸)が確認され、3日に退院した。今後も定期的な投与が必要という。
 男児は筋肉を動かすのに必要なたんぱく質「ジストロフィン」が遺伝子の異常などによってつくられず、自力で立つことが難しい状態だった。

 治療は10月29日から始まり、人工的に合成したDNAを1週間ごとに計4回、静脈に点滴投与。遺伝子情報の一部を修正することで、筋肉の生成を促すメッセンジャーRNAをつくり出し、血液中のリンパ球で確認された。

 筋ジストロフィー男児3500人に1人の割合で発症。松尾教授は「同様の症状を抱える多くの患者への応用が期待できる」と話している。