ディズニーの「内紛」拡大、取締役も辞任発表

30日に副会長辞任を表明した創業者のおいにあたるロイ・ディズニー氏に続き、同社取締役のスタンレー・ゴールド氏も1日、辞任を発表した。2人とも、マイケル・アイズナー会長兼最高経営責任者(CEO)に対し、業績不振などを理由に、辞任を求めている。“ディズニー中興の祖”であるアイズナー氏だが、20年近い長期政権に対する社内の不満が噴出した格好だ。

 アイズナー氏は、経営不振と敵対的買収の危機にひんしていたディズニーの再建のため、パラマウント・ピクチャーズから移籍し、1984年に会長に就任した。当時はアニメ映画とテーマパークだけが主要事業だった同社を、出版、放送、スポーツ事業も展開する世界屈指の複合メディア企業に育て上げた。そのアイズナー氏を登用したのがロイ・ディズニー氏とディズニー家に近いゴールド氏らだった。

 しかし、ロイ氏は最近の業績低迷に伴い、アイズナー氏への不信感を強めていた模様だ。30日にアイズナー氏にあてた書簡では、傘下テレビ局ABCやテーマパーク事業の業績不振の責任を追及したのに加え、「(アイズナー氏は)後継者問題について明確にすることを拒んできた」と、アイズナー体制の長期化を批判した。

 ゴールド氏も同様にアイズナー路線を批判し、1日のテレビ番組で「株主にアイズナー氏の辞任を求めるよう促す」と発言した。

 ただ、内紛の行方について、米業界関係者の間では「アイズナー陣営有利」との見方が多い。ロイ氏らが批判対象としたABCやテーマパーク事業も米景気の回復基調とともに業績が戻りつつあるためで、「ロイ氏側の批判を株主が支持するか疑問」との声があがっている。