CRO業界で働いて分かったこと。感じたこと。期待すること。

この7月で、僕もCRO業界で働き始めて4年になる。
そこで感じたことは、治験の進め方にも製薬会社によっていろんな方法があるもんだ、ということだ。

もちろん、基本的なやり方は大きく変わることは無いのだが、細かい点になると各社各様。
プロトコルの作り方、CRFの設計方法、医師からのコメントの貰い方、もらうべき項目の基準、モニタリング報告書に記載すべき事項、記載して欲しくない事項、はたまた、CROとの協力関係の築き方など等。

CROは各クライアントとの間に守秘義務が有るので、そういうことを表立って言うことはないのだが、CROで働くモニターにとっては凄く勉強になるし、ノウハウの構築にも繋がる。(モニターに限らず、CRO会社としても。)


外資系製薬会社にいると、転職して来る人が多いので、他社がどういうふうに治験を進めているかを多少は知ることができる。
しかし、国内メーカーに長く勤めていて、しかも、その会社に転職して入ってくる人が少ないと、まず気になるのが「よそはどうしてる?」ということらしい。

外資系の場合、よそでやっていることの二番煎じなんてやってられるか、うちがオリジナルの新しいやり方でやってやる、というパイオニアの雰囲気もある。
横並び主義の風潮も少ない。

しかし、国内メーカーでは割と「よそでやっていないこと」を「うちが一番最初にやる」というのは、相当、敷居が高い。

CROで働いていると、その手のパイオニア的手法を使うときには、まずは、絶対にクライアントである製薬会社にお伺いをたてる。
そして、そのクライアントの反応も各社各様だ。


最近の学生は、CROで働くことのより、いろんな会社のいろんな治験を担当することができ、自分の成長に繋がる、あるいは色んな治験をやってみたい、という理由でCROを希望してくる人がほとんどだ。


話しは60光年ほど飛ぶが、「アイディア」とは「異質なものの組み合わせ」という定義がある。
ゼロからアイディアを作ることは不可能で、今までのアイディアを発展させる、あるいは組み合わせて、新しいアイディアを作る、というのがセオリーだ。

そこで、せっかくCROで働いているのだから、各社の治験のやり方を頭の中で組み合わせて、新しい治験のやり方を考える、ということもできる。
そこから、ソリューション提供型のCROというカテゴリーも作ることができる。

しかし、クライアントの中には「CROは余計なことをしなくていい。こちらの言ったとおりにやって欲しい」という会社もあるだろう。
それはそれで、もちろん、全然、問題ない。

今はまだ違うだろうが、そのうち、製薬会社に所属するモニター(CRA)よりもCROに所属するモニター(CRA)の人数が上回る時が来るに違いない。

そのとき、治験のやり方が変わってくるだろうか? それとも全く変わらないだろうか。

そのあたりが、僕としては、今、一番、気にかかるところだ。




架空(仮想)の製薬会社「ホーライ製薬」


臨床試験、治験を考える「医薬品ができるまで」