『コンパッショネートユース(CU:Compassionate Use:人道的使用)』

現在、厚生労働省の「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」が未承認医薬品をいかにして、迅速に安全に患者へ届けるかを検討している。
今日(2007/07/01)現在、第8回まで検討が終了している。

この検討会の中で一部の未承認薬については『コンパッショネートユース(CU:Compassionate Use:人道的使用)』を限定的に認めようではないかという方向で話が進んでいる。


新聞等の報によれば厚労省はこれを受け、来年度導入に向け検討に入るらしいが、実際にはいつになることか。


この制度を患者の立場で考えると、心配になるのがまず「費用」の問題だ。
未承認薬なので、当然、健康保険は使えない。全て、自費ということになるのだろうか?

また、「万が一」の副作用などが出た場合、それも重篤な場合に補償や救済されるのだろうか? 例えば、総合機構の「副作用被害救済制度」の対象となるのだろうか?
そして、それはいつまで未承認薬のままなのだろうか? 製薬会社は通常の健康保険が適応できるよう承認をいつかは取ってくれるのだろうか?

・・・・・・というようなことが心配だ。

そもそも、この『コンパッショネートユース(CU:Compassionate Use:人道的使用)』の対象となるのが「重病で代替治療がない」場合を対象としているので、患者や家族は、この制度に期待をかけると思う。

しかし、これはあくまでも『特例』なのだ。
この制度の対象にならない「未承認薬」もあることだろう。そのような場合、患者はどうしたらいいのだろう?医師に頼んで個人輸入してもらうしかないのだろうか?

現在でも、難病で患者数が少ない疾患の治療薬は「オーファンドラック」制度があり、製薬会社に対しては税制上の面と審査段階での優先順位の点で優遇される。
でも、こういう制度が有ったとしても、もやっぱり製薬会社の思惑ひとつで、日本国内で開発するかどうかが決まる。

医師主導型治験制度も、この手の「製薬会社」がなかなか開発をしてくれそうもない場合、医師が自らその薬の治験をやることができる、ということがメインの目的として制度化された。
この目的はいいのだが、今のところ、期待されたほど活発に利用されていないようだ。


ドラッグラグ』というのは、時間差があるけれども、日本国内でも承認され、使用されるから、まだましだ。

『コンパッショネートユース(CU:Compassionate Use:人道的使用)』を検討する必要性というのは、そもそも、製薬会社が日本で開発する意志が無い(けれど、海外では使われている)治療薬が存在しているからだ。



先週からの繰り返しになるが「患者」にわざわざ「様」までつけて患者を思ってくれている製薬企業もあるくらいだから、是非、その「患者様のための」製薬会社になって欲しい。

ところで、「患者のための製薬会社」って、どういうことだろう?どんな会社なら、そう呼べるのだろう?





架空(仮想)の製薬会社「ホーライ製薬」


臨床試験、治験を考える「医薬品ができるまで」