「人はなぜ悩むのか」
人間は「第三者的な眼」で自分を眺めることができる動物である。
そして、その「第三者的な眼」で自分が持つ苦悩の本体を見つめようともしている。
その苦悩の本体を取り除こうとする過程において、他者と自分との関係を考えざるを得ないことを教えてくれる。
著者は「心の病」を専門とする精神科医である。
それだけに、ともすると「薬」による治療を優先して書かれてしまいそうなところを、自分自身を見つめることを重要視している。
また、そのような時間を持つべきだとも言っている。
本当は自分は何を求めているのか? 何を必要としているのか?
それを熟考することを勧めている。
自分の本心を素直に認めること。
それが、悩みから開放される第一歩だ。
本書はそんなことを具体的に伝えてくれる良書だ。