がん撲滅へ新型内視鏡、産官連携で開発へ


経済産業省は6日、産官連携でがん撲滅に向けた新医療機器の開発に来年度から乗り出すことを明らかにした。

 極めて初期のがんを発見できる内視鏡を開発するほか、ウイルス感染の心配がない人工血液の世界初の実用化を目指し、次世代の治療体制を整える。2006年度に製造技術を確立させ、早期の実用化を図る方針だ。

 次世代内視鏡は、先端から特殊な光を発し、光の色合いでがん細胞を見分ける。
これまでの内視鏡は、直径1―2センチの大きさに成長したがんしか特定できなかったが、同省は、新技術で2ミリレベルの初期がんの発見も可能な内視鏡の開発を目指す方針だ。
ポリープ化する前のがんが発見できれば、5年後の生存率は胃がんや直腸がんで、現在の約7割から9割程度まで上昇すると同省はみている。

 経産省は来年度に約2億円の開発予算を計上して、医療機器やハイテクメーカーなど産業界と共同開発を進める。

 一方、人工血液は、本物の赤血球の30分の1ほどの大きさのカプセルに酸素の運び役であるヘモグロビンを閉じ込める。血液型も関係ないため、大量な輸血を必要とするがん手術での効果が期待される。

 エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液を輸血された患者がHIVに感染するなどの被害も起きており、ウイルス感染の心配がない点も利点だ。