頼るな!

「新たな治験活性化5ヵ年計画」が発表され、また「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」も出た。
「新たな治験活性化5ヵ年計画」について、ホーライ製薬のトップページで「期待しているかどうか」のアンケートもとっている。

僕はこれらの計画、戦略にとても期待を寄せているのだが、頼ってはいけないと思っている。

「危機感」を持つべきは行政よりも本人(製薬企業)だ。(言うまでもないが。)

制度がなっていないとか、GCPが非効率的だとか、それは分かるし、無駄だと思うことは是正もする必要があるだろう。
(ただし、どんなに無駄なように見えても創薬ボランティアの安全性を確保するためのものは、きちんと残す。)


創薬を促進するように税制面や薬価面で考慮してもらったり、大学等の基礎研究が速やかに応用されるような仕組みも必要だろう。


ただし、最後にものを言うのはやはり「自力」だ。


GCPの必須文書が今の3分の1になったところで、そうそう「画期的な新薬」が産まれるものではない。
自社のモニターの熱意が急に上がるわけでもない。(労力が減れば、ホッとはするが、それと熱意は関係無い。)


新薬が生まれる難くなった原因の一つとして、残された疾患はそもそも治療が難しい、ということがある。
抗体に関連する薬では思わぬ副作用が出る可能性もあり、ますます、創薬プロセスで、検討すべき項目は増えるだろう。
併せて、治験のデザインも複雑になり、モニターは事務作業は減るかもしれないが、モニタリング業務そのものはますます大変になることも予想される。

僕たちは「自立した産業界」にならないといけない。製薬業界は「護送船団」(古い言葉だが)に成り下がってはいけない。


いくら国際共同治験がやりやすくなったとしても、そもそも、その治験をやるべき「新薬の卵」が無いと始まらない。
そして、それは「自力」でなんとかしないといけないのだ。(他社と提携するなり、ベンチャーを買収するにしても、自らが決断し、自らが動かないといけない。)


「新たな治験活性化5ヵ年計画」に期待もするし、GCPが簡略化されモニターの事務手続きが減り、本来のモニタリング業務に専念できるようになれば、それは嬉しいし、好ましいことだと僕も思う。

でも、それと「頼る」か「自力でいくか」とは、また別の話だ。


あまたの組織にもいませんか? 物事がうまくいかないと、すぐに他人のせいにするひとが。