「臨床道化師」
小児病院などに出向いて患者を楽しませる「臨床道化師」の技術と理論を学び、学位を取得できるプログラムが、イスラエルのハイファ大学にこのほど新設された。
臨床道化師は、患者の心をケアする専門家として、近年、欧米や日本での活躍が注目を集めている。
同大の報道担当者によると、臨床道化師を目指す学生は、演劇の基礎などとともに、専用の看護学コースを履修。
修了者には文学士(BA)の学位が与えられる。
「看護者と患者の関係や、病に苦しむ患者の心理状態など、演劇学校では学べないことを習得することができる」と、同担当者は強調する。
臨床道化師の仕事は1970年代、米バージニア州のハンター・アダムス医師が提唱したのが始まりとされる。
病棟でのユーモアや人間性の重要さを訴えた同医師の半生は、1998年の映画「パッチ・アダムス」で詳しく紹介された。
米国では、ニューヨークを拠点とするビッグアップル・サーカスの創立者、マイケル・クリステンセン氏が過去20年間にわたって、臨床道化師を派遣する活動を続け、これまでに90人以上の専門家を育成してきた。
同氏はハイファ大学の試みを歓迎し、「学位が設けられるのは世界で初めてだろう」と語った。
同大で学位取得を目指す男子学生は、「このプログラムによって、臨床道化師が一時の流行ではないとの考え方が広がり、専門性が尊重されるようになることを期待する」と話している。
臨床道化師(クリニクラウン)とは
病院を意味する「クリニック」と道化師をさす「クラウン」を合わせた造語です。
クリニクラウンは、入院生活を送るこどもの病室を定期的に訪問し、遊びとユーモアを届け、こどもたちの笑顔を育む道化師のことです。
クリ二クラウンは、優れた表現者であるとともに、こどもとの接し方、こどもの心理、保健衛生や病院規則にも精通したスペシャリストです。
クリニクラウンの技術は、道化師の芸を披露するためのものではなく、こどもたちの心に寄りそうためのものです。
活動の主役はあくまで「こども」。
病気の治療のために様々な制限の中で入院生活をしているこどもたちがおもいきり笑い、主体的に遊ぶことのできる