治験の問題点「遅い子ども用の新薬開発」

製薬協提供TV番組「ゆめの瞬間いのちの一枚」を観て(その2)


昨日(2007/02/12)の「ゆめの瞬間いのちの一枚」を観て思ったことの続きです。

子ども用の新薬開発についてです。


昨日の番組では三人の子どもが病気と闘うために薬を利用してることを紹介していたのですが、実は子ども用の新薬というのはなかなか開発されない傾向にあります。

何故ならば、子どもを対象とした治験を製薬会社が避けるからです。

何故、避けるかと言うと子どもは大人より薬に対して敏感なので副作用が出やすいことが一番の理由だと思います。
副作用が出やすいうえに、子どもだと大人よりも(大人だってそうですが)、会社は怖がります。
万が一のことがあったときの補償やらマスコミメディアへの取り上げられ方などなど。

治験参加に伴う同意の問題もあります。

まず子どもの親が自分の子どもを治験に参加させたがらない。
そうなると治験も長期化して費用が嵩みます。
また、仮に親が治験への参加に同意したとしても、本人が嫌がったらどうするか、という問題もあります。
(ちなみに、あなたなら、どうしますか? 子どもの年齢が5歳だった場合と12歳だった場合で考えてみてください。)

小児科学会では子どもの用法を持った新薬が出てこないことを心配して、また困っており、学会として製薬業界に小児に対する用法を検討した治験を早くやるように催促しています。

通常、新薬はまず大人(成人)で試験され、そのデータをもって新薬の承認を得ます。
製薬会社は、大人(成人)で使用実績をつみ、ある程度の安全性が確認されたら、今度は小児を対象とした治験に手をつける、というのが一般的です。


では、大人(成人)の用法しか持っていなくて、子どもにも効きそうだと思った場合、医師はどうしているか?というと医師本人の責任で要領を決めて使っている、というのが現状です。

でも、いつまでも、こんなことも出来ないので、正式にきちんと小児を対象とした治験を行い、国の承認を得て欲しいと思うが小児科医の強い要望です。

と言うわけで、まだまだ日本の薬業界も問題が山積みです。





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